お米たちの四季

春…『塩漬けのお米?!』

種籾(たねもみ)の塩水選(えんすいせん)から作業は始まります。
塩水選とは種籾を塩水につけて浮いてきた籾は中身が軽いので捨てて、沈んだ種だけを播種(はしゅ)します。=種を播くこと
塩水の濃度は卵が浮く位がちょうどいいです。現在は比重計を使って濃度をみます。
浮いてしまう籾は大きくなると「ばか苗」といって背ばかりが高くなり実が入りらないので最初の段階で不稔籾を減らす事が大切です。

苗箱に土を詰めて重ねていきます。
昔は田んぼの土を何度もふるいにかけて細かくして使っていましたが、今は殺菌された水はけの良い苗箱用の土を買っています。
何と言っても基本は土作り~丈夫な苗作りから始まります。

種籾を網袋にいれて水をきり保温庫にいれて発芽させます。
芽だしした種籾を播種(はしゅ)機械にいれてベルトコンベアーで苗箱を流して均等に種籾を播いてて土をかけていきます。
この時の種籾を播く厚さで苗の良し悪しが決まります。
薄くても厚くてもダメなんです。

写真の保温庫に3日間入れて、いっせいに芽が出るように温めます。

種まきが終るといよいよトラクターで田んぼを耕しはじめます。
1度だけではなく2度、3度とすると土が柔らかくなって、しろかきがやりやすくなります。
田んぼに響き渡るトラクターの音は、北国の春を知らせる音でもあります。

ビニールハウスの中にいれて約1ケ月苗管理をします。
この苗床にはスプリンクラーが埋め込まれていて水が均一にまけるようにしてあります。
気温を見ながら暑い日中にはビニールを開け夕方になったらビニールを下ろすなど、一日も目が離せません。

ビニールハウスの中の苗を田んぼに運びます。
この苗を田植え機に置いて田植えをします。

例年だと5月中旬頃、田植えが始まります。
この日は雨が降るあいにくの日でしたが、目だし帽をかぶって田植えをしています。

ゴールデンウィークの頃、お隣宮城県では田植えが始まりますが、
この頃、山形県はまだ気温が低く田植え作業はもう少し後になります。
写真は田植えが終わったばかりの田んぼです。


夏…『花の命は短くて』

この地域の田んぼに使われている水には、白水川ダムから引かれている山の水と最上川の水が使われています。

苗はすくすくと育って、夏の一番暑いころ花が咲きます。
この時期を開花期といいます。
小さくてかわいい花ですが、たった2時間の命です。

花が終わるといよいよ稲の赤ちゃんが現れます。
これが出穂期(しゅっすいき)です。
この頃、長雨が続いたり気温が低いと花が咲いても実がなりません。
ですから、一番、収穫量に影響する大切な時期でもあります。

山形県は1933年7月25日午後3時ごろ40.8℃の日本最高気温を記録した所です。
この40.8℃はいまだに日本の最高気温となっています。


秋…『田んぼを角刈り』

暑いのはお盆の頃まででお盆を過ぎると山形の秋が急速にやってきます。
日に日に寒くなり、それに合わせるかのように、まっすぐに伸びていた稲穂が少しずつ垂れ下がり始めます。
9月中旬にもなると重たいよと言わんばかりに穂は垂れ下がり、稲刈りの季節がやってきます。

9月下旬から10月上旬、お天気の良い頃を見計らって、コンバインで稲刈りを行います。
長方形の田んぼの四隅の稲を手で刈って(角刈り:かどかり)、機械が曲がれるようにします。後はコンバインにおまかせです。

コンバインのお腹が籾で一杯になると、アラームが鳴って軽トラックに積んである箱に籾を移していきます。

お米の農機具は1年に1度しか使わないのでとても不経済だと思います。

乾燥機にいれて籾の水分を一定量まで減らします。
この作業はだいたい12~24時間くらいかかります。
まだこの状態ではノゲと殻のついた籾で、これを脱穀したのが玄米です。
脱穀機は風で殻を飛ばすのでもう体中がチクチクする作業です。

30kgずつある米袋の口をぎゅっと縛るのがこれまた職人技です。
きれいにしかもぎゅっとほどけないように、力加減と経験が物をいいます。
写真はこの道何十年の母の手です。

玄米を30キロずつ米袋に入れて米検査の会場に運びます。
米袋には住所と生産者の名前が書いてあるので
生産者ごとに米を検査して1等米、2等米、くず米と分けられます。
今年もうめつ果樹園のお米、もちろん1等米でした。
うめつ果樹園のある『山形県東根市長瀞』は字のとおり水が豊かな堀のある村。
そんな地域性と作り手の思いがひとつになって、みごと実を結んだ結果です。

30キロの米袋を持つのはとても辛いです。
腕で持ち上げるのではなく腰で持ち上げるそうですがなかなか・・・。
これだけの袋を蔵に入れるのは重労働です。
作業が終った時には腕が利かなくなってしまい、翌日は筋肉痛との闘いです。
蔵は年間を通して温度が一定なので保管にとても適しています。

イナゴがぴょんぴょん稲のあいだやあぜ道にいます。
こんなふうにラブラブなイナゴもいます。
ちょっとかわいそうですが一度で2匹捕まえる事のできる格好の獲物です。
イナゴ獲りは一度やったらやめられません。
もう楽しくて楽しくて~。
でも食べられない私です。


冬…『誰の足跡?!』

初雪の12月頃から3月頃まで、田んぼの雪は少しずつ増えて、また少しずつ溶けていきます。
最初から最後まで田んぼには雪があります。

たまに犬の足跡や野うさぎの足跡を発見します。

よく晴れた日には小学校の子供達は歩くスキーを履いて田んぼへハイキングに出かけます。
体育の授業はほとんどが歩くスキーです。
休み時間には校庭の小高い山の上からスキーですべって遊びます。
田んぼは子供たちにとっても最高の遊び場であり学びの場でもあります。

お彼岸を過ぎると急速に田んぼの雪も解け始めます。
たまに北へ帰る白鳥が羽を休めていることがあります。
もうすぐ田んぼの準備が始まります。